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講演記録

講演(2)

(一社)リビングアメニティ協会   2019年10月10日

2019年10月10日 一般社団法人リビングアメニティ協会のシンポジウムで講演をさせて頂きました。この協会は国土交通省の外郭団体で優良な住宅部品を認定する一般社団法人ベターリビングが母体です。何万点もある住宅部品を検査して優良な部品にBL認定をする団体です。

リビングアメニティ協会はその中で住宅部品の定期点検を推進している団体です。毎年「住宅部品点検の日」というシンポジウムを開催されています。今回で第8回目。今回は私の推奨している住宅の長期維持管理とその記録保持が協議会の理念と一致するという事で基調講演のお声を掛けて頂きました。

当日は私の事務所の近く、水道橋にある住宅支援機構のすまい・るホールにて1時間お話しさせて頂きました。当日国土交通省から来賓でこられた着任されたばかりの住宅生産課の課長とご挨拶できたのが幸運でした。その理由については別の項目でお伝えいたします。

当日の公演内容はその後講演記録として当協会の機関紙「ALIA NEWS」2019年秋号に掲載されました。

協会様からご厚意で掲載文書をPDFで頂きました。ご興味のある方は是非ご覧頂ければ幸いです。

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講演記録

著書と講演(1)

2018年3月 住総研シンポジウム

2015年4月から2018年3月まで一般社団法人 住総研が主催する「住宅の使用価値研究委員会」に参加させて頂きました。委員長は東京大学生産技術研究所所長であり東京大学副学長の野城智也教授。他のメンバーは立命館大学の大垣教授、明海大学の斎藤ひろ子教授、明治大学の園田真理子教授、東京大学生産技術研究所の森下有助教授という教授陣。私は前職である優良ストック住宅推進協議会事務局長という肩書。ただ一人の一般人でした。

住総研ホームページより

そこでは住宅の使用価値(Value in Use)とは何か?それはあくまで住み手から見た価値でありそれを「見える化」することにより中古住宅の価値が評価され、ストック市場の活性化、空き家問題の解決に繋がるという大変高尚なテーマを議論する委員会でした。

建築士会館

委員会は毎回、港区芝にある建築士会館で行われました。実際に中古住宅取引の現場におり、新しい中古住宅の評価手法を広めようと活動していた私と建築学の権威である大学教授達とは最初話が噛み合わずお互い何を言っているのかわからない状態が続きました。野城教授は建築学の大家であり住宅履歴の必要性をいち早く提唱し、住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会(家かるて)を立ち上げられた方。優良ストック住宅推進協議会の立ち上げに際してとてもお世話になっています。 斎藤ひろ子教授は日本で唯一の不動産学部を持つ明海大学の教授で野城教授の後を継いで家カルテの推進に注力されています。大垣教授は住宅金融の専門家であり住宅の資産化を模索され、「移住・住み替え支援機構」を立ち上げられた方。それぞれ住宅の資産価値を高める事に対して尽力されている方々。

どうしたら住宅の価値という物を分かりやすく表現できるのだろうか?そんなテーマで3年間議論致しました。私は住宅の価値を維持するためには長期的な維持メンテナンスプログラムと定期的な点検、補修、そしてその記録を保持する事というスムストックの発想を提案しました。

そして2018年1月15日。3年間の研究成果をシンポジウム形式で発表することとなり、私も発表の機会を頂きました。

今まで、国土交通省や自民党諮問会議等で話してきた内容を始めて一般の方々にお話する機会を与えられ、30分という短い時間でしたが研究成果を話させて頂きました。その時の講演内容アーカイブがこちらの画像です。

http://www.jusoken.or.jp/movie/127_600.html

個人の講演が終了後に当日の講演者によるパネルディスカッションが行われました。休憩時間に参加者から質問を文書で受け付けそれぞれが回答していく形式でした。その時の画像アーカイブはこちら。全体で1時間以上の画像ですが私が発言しているのは

①29:30~32:40 住宅履歴の必要項目と維持修繕に係る費用

②39:40~41:00 不動産のネットオークションの可能性

③49:40~50:03 住宅の利用価値と使用価値について

④1:15:51~1:17:51 業界の将来 個人が住宅で損をしない為には?それぞれ発言しております。

他の先生達のお話もとても示唆に富んだ良いお話です。お時間ございましたら是非とも一度通しでご覧頂く事をお勧めいたします。

http://www.jusoken.or.jp/movie/129_600.html

パネルディスカッション

そしてそれから1年後、2019年4月にこの時のシンポジウムの内容が書籍となって発売されました。それぞれ講演者が当時の内容を基に文書化しています。ご興味のある方は是非ともご購入頂ければ幸いです。

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住宅の価値とは?

住宅の価値とはなんでしょうか?家族を災害から守るシェルター。一家揃って過ごす団欒の場所。頑丈で快適な暮らしができる性能が無ければなりません。その為に人は生涯賃金の3分の1を投入するといわれています。何千万円と言う高額商品です。今は35年間返済するローンで購入することが一般的です。家を購入することなく一生賃貸住宅で過ごす人もいます。よく、家賃はお金をどぶに捨てる様な物だから早目にローンを組んで家を購入した方が得になるという人がいます。いやいや、ローンに35年も縛られるのはリスクがある。賃貸生活をしていればローンが無くて自由だという人もいます。持ち家と賃貸どちらが得?という特集を組むと住宅雑誌の売り上げが伸びるという話もあります。

実際のところ、どちらが得か?という話には正解はありません。ただし、どんな家を買えば損をしないか?という話にはある程度答えがあります。

上のグラフは日本人が1969年から毎年20兆円住宅購入し約40年後の2011年で累積860兆円に達したけれどその価値は340兆円しか無くて500兆円がどこかに行ってしまったという事を表したものです。国土交通省が2015年頃に発表しました。

これは日本の戸建て住宅が築20年で建物評価がゼロになってしまうと言う悪しき習慣の合計金額です。500兆円といわれてもピンと来ないと思います。例えば2500万円で土地を購入、2500万円で家を建築。計5000万円の買い物をした人がいるとします。その人が20年後に自宅を売却しようと思ったらなんと土地価格の2500万円でしか売れなかった。そんな感じで自宅で2500万円損した人が200万人いらっしゃると言う事なのです。

こちらは同時に国交省が発表したアメリカのグラフです。同じように購入した住宅価値が全く下がっていないと言うことを表しています。

日本では購入後20年で価値がゼロ。アメリカでは購入価格で家が売れる。どちらが豊かな生活を送れるか?考えるまでもありませんね。

さて、ここでもう一つ問題があります。普通の人は自宅を購入する際に住宅ローンを組みます。まとまった自己資金が無くても住宅を手に入れることが出来る魔法のようなシステムですね。でも、ローンは長期の借金ですから返し続けなくてはなりません。現在はほとんどの人が35年返済、そして住宅金融支援機構のフラット35以外は殆ど変動金利です。そしてローンの返済が完了するまで住宅は自分のものではありません。

もちろん自分の名義で所有権保存登記を行って対外的には自分の物であると主張することは出来ます。でもローンを組んだ金融機関はあなたの家に抵当権という権利を登記しています。これはローンの返済が半年以上滞ると毎月一定額を返済していく権利がなくなります。つまり一括返済を求められる訳です。毎月の返済が滞るのですから一括返済など出来ようもありません。でも金融機関はそれなら住宅を処分して返済しなさいと迫ります。なぜならお金を借りる時に金銭消費貸借契約書でお互いそういう約束をしているからです。実際そのような状況に陥っている人は大勢います。

せっかく手に入れた夢のマイホームを仕方なく売却してそのお金で銀行に借金を一括返済したら家族共々その家からは追い出されます。そしてアパートに引っ越しをして今度は家賃を払い続ける。辛いですね。ここで更につらい人とそうでない人の運命が分かれることをご存知でしょうか?それは自宅を処分することで借金を清算して手元にいくばくかのキャッシュが残る人。取敢えず借金だけは清算できる人。この方達は未だ救われます。問題は自宅を処分しても清算に至らず、アパートの家賃を支払いしながら銀行に借金返済を続けなくてはならない方です。

家の価値は20年でゼロなのにローン返済は35年続く。するとどうなるかを表したのが上のグラフの左側のピンクの部分。自分が抱えている借金が自宅という資産を上回っている。つまり負債を抱えているという期間が何十年もあるということです。この状況は企業でいえば債務超過。いつ倒産してもおかしくありません。そしてこの期間に自宅を売却せざるを得なくなった方は先ほどの三番目の状況になってしまいます。あまりマスコミ等では取り上げられておりませんが、日本ではこのように自宅を処分してもローンの返済が出来ずに苦労されている人が多いということは重要な問題ではないでしょうか?

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その他

既存住宅流通研究所とは?

住宅購入で不幸にならない世界を作りたい

日本の既存住宅(中古住宅)流通の問題点と解決手法を研究しています。大手ハウスメーカー9社で立ち上げた「優良ストック住宅推進協議会」の元メンバーであり、国土交通省の「中古住宅市場活性化ランドテーブル」の委員を経験する中での経験を基に欧米の様に自宅(戸建住宅)が個人資産となる世界を目指して各種提言を行っております。