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これで良いのか長期優良住宅

リフォーム産業新聞コラム掲載

2018年から6年間、地域工務店に対して長期点検の実施と維持管理記録保持の代行業を行ってきた身としてずっとある疑問を持ち続けていました。

一般工務店の経営者は新築受注と引き渡し期日死守で頭が一杯。自分が引き渡した家の20年後の価値など毛頭興味がありません。

でも、建築主様の幸せを本当に願うのなら工務店が主体となって定期点検と住宅履歴保持を進めるべきではないでしょうか?

地元に愛される、孫の代までのお付き合いと謳うのならアフターサポートちゃんとやりましょうとお話させて頂いています。

普通の家はこんな感じで長期修繕計画も無いのが当たり前なのですが、国が認定した長期優良住宅は長期修繕計画の策定と30年間の点検義務が条件となっており最低10年に一回は点検を行う事になっているはず。ここに来て本当に点検しているかどうかのお尋ねが施主宅に届いていると言う事が話題になっています。

実体はどうなのか?ちゃんとやっているのはせいぜい一割位なのは無いだろうか?その疑問を国土交通省にぶつけた顛末がこのコラムです。

記事のコピーは読み辛いと思いますので後半に原稿を記載します。初めからそちらをお読みいただければ幸いです。

掲載第一弾 
連載第3回

以下掲載前の原稿を掲載します。実は第一回掲載からそれなりの反響を頂きました。中には「内容が過激すぎないか?○○省が気分を害するのではないか?」と言ったご心配の声も頂きました。 修正前の原稿も一応記載させていただきます。

これで良いのか長期優良住宅

日本の木造住宅の寿命は30年というデータがある。不動産市場では築20年程度で建物はゼロ評価され、古屋付土地として土地価格マイナス解体費用で取引される事も有る。

そんな悪習慣を打破する為に国土交通省は平成20年に長期優良住宅の普及の促進に関する法律を施行した。耐久性、耐震性等の性能基準設定やバリアフリー化、間取りの可変性対応、居住面積の確保、街並みとの調和、メンテナンスが可能な設計、そして最低30年の維持管理計画書の作成と実施を約束する書類を行政が認定する事とした。そして住宅ローン控除の増額や各種税金の軽減等のメリットが与えられた。当初ハウスメーカーはこの仕様を標準化し普及を進めたが、一般工務店の木造住宅ではあまり普及しなかった。

「住宅生産課は家を作るところまでで後の事はあまり考えていない?」

それから6年後の平成26年、中古住宅市場活性化ラウンドテーブルという国土交通省主催の会議に筆者は優良ストック住宅推進協議会(スムストック)の代表として参加していた。50年以上の修繕計画と実施記録を基に優良な既存住宅市場をつくる活動をしている団体である。その会議上で長期優良住宅が計画通り維持管理を行う事をどう確認するのか?と住宅生産課長に質問した。それはこれから考えるとの返事だった。認定条件では30年間10年に一度程度点検と記録が義務付けられる。制度が始まって12年経過した令和3年度国土交通省はその累積棟数が133万戸に達したと発表した。 「突然届いた国からの恐怖のお尋ね」令和5年住宅業界である噂が広まった。長期優良住宅の建築主に市町村から定期点検の実施状況報告書が届いている。案内文には報告をしないまたは虚偽の報告した場合30万円以下の罰金という一文、さらに計画通り維持管理を行わない場合は認定が取り消され、各種補助金等返還要求も有ると言う注意書きもあった。 突然この文章が届いた建築主は困惑し工務店に問い合わせをした。しかし点検と履歴蓄積義務は建築主にあり工務店ではない。大手ハウスメーカーは長期優良住宅に限らず全ての家に50年以上の定期点検があり、履歴を蓄積している。しかし工務店においては点検代行と履歴蓄積を行う事は少なく、また建築主においても認識はとても低い。文書を受け取った建築主及び問い合わせを受けた工務店ともに混乱した。

「誰も知らない点検実績」

筆者は住宅の点検代行に関する仕事をしており、日頃から建築主や工務店の住宅履歴への関心の低さを感じていた。点検が義務化されている長期優良住宅はどうなのだろうか。この10年間で130万件の点検情報が蓄積されていることになる。ところがどうも肌感覚としてそれほど行われているようには思えない。またホームページに記載されていた、建築主に対する調査は全体の一割程度という事に疑問を感じた。 そこで調査の実体を知るべく、某国会議員の力を借りて国交省に質問状を送付した。その内容は①調査の全体把握②なぜ確認対象が一割程度なのか?③回答率。④点検の実施率と記録保持率⑤実施していない場合の是正指導内容とした。 国会議員のお陰で住宅局の課長補佐クラスの職員が速やかな対応をした。平成22年度に建築された77,000件に対し報告依頼発送件数7421件、報告件数6167件、抽出率9.6%、回収率83.1%。そしてなんと適切点検実施件数が96.3%、記録保存状況が96.8%という調査結果が示された。想像を遥かに超えた数字だった。せいぜい10%位しか出来ていないと想像していた私達はある疑惑と違和感を持った。書類が来た人だけが慌てて点検をしたのであって、それ以外の人は何もしていないのではないか?そもそもなぜ10%程度にしか送らないのか?答えは所管行政庁の負担軽減という返事。そして国土交通省の方々はこのアンケート結果に大いに満足されている様子だった。 回収率を上げる為のご苦労や未点検に対する指導内容に関しては、自分達は各所管行政庁からの数字をまとめているだけなので分からないという回答。そこで所管行政庁の一つである大阪府に面談を申し入れた。ここでも国会議員の影響力は素晴らしく建築環境課長等3人に話が聞けた。

Q 国土交通省の数字と大阪府の数字に差はないか?

A ほぼ同じような数字である。

Q 回収率の高さは素晴らしいがご苦労があったのではないか?

A 電話で督促をした等の相応の苦労はあった。

Q 国は一割程度の抽出としているがもっと多くの人々に発送す  るという発想はなかったか?

A 国が一割で良いとしている事を我々が勝手に変えるということはありえない。

Q 我々は数字の高さに疑問を抱いているが、報告書の内容を知りたい

A それは構わない。そして報告書のひな型を入手した我々は唖然とした。

「この聞き方だととこうなるね。」

質問は形式的だった。維持保全計画で定めた時期に点検等を行っているか?と言う問いに対する答えは「はい」か「いいえ」。実際に点検をしていなくても「はい」と答えればそれ以上の書類提出義務は無い。つまり実施していなくてもした事に出来る。高い実施率が報告される理由が分かった。

筆者が考える本来あるべき戸建住宅の維持管理とは

①建築主や工務店ではなく第三者機関による定期点検の実施(車検と同様の信憑性確保) 

②記録を改ざん不可能なデジタルデータで保管する事

③②の点検記録を基に適正な価格査定を行い、安心して購入できる既存住宅市場を作り出す事。これは筆者がハウスメーカー勤務時代に取り組んだスムストックで実証している。そして②に関しては現在募集中の「不動産IDを活用した官民データ連携促進モデル事業」に応募する際、デジタル化された点検データに国土交通省がアクセス出来るシステムを提案する事にしている。職員が紙の報告書を作成し封筒に入れて郵送し、電話で催促を行い、返送された封書を開封して集計するといったアナログで無駄な作業。これを続ける事に何の意味があるのだろうか?だから10%しか調査しないという発想になるのだろう。即刻改めるべきではないだろうか。その為に我々は今回国土交通省にある提言をした。それは30年間の点検と記録の為に、システム利用料上限4万円、第3者点検料上限5万円×3回=15万円 計19万円を建築時に補助金支給するというものだ。建築主はこの費用で情報蓄積機関や点検代行業者を選び自動的に定期点検を受けて情報蓄積が出来る。所管行政庁の無駄な労力も全て解消できる。各種税金減額等メリットのどれか一つを置き換えれば予算は確保できる。

長期優良住宅制度は全ての戸建住宅の寿命と価値を長持ちさせるための導入実験である。本来は全ての戸建住宅にこの補助金を出し、住宅履歴が当たり前という世界にするべきだ。そしてこの補助金は10年程の期間限定で良い。なぜなら10年もすれば住宅履歴付の住宅が既存流通市場で適正に評価される状況になる。20万円弱の投資で自宅の評価が100万円単位で変わる事が実感出来れば、建築主はこのシステムに投資をするだろう。現時点でスムストック加盟ハウスメーカーの建築主は当然にこのメリットを受けている。しかし全体のたった15%程度である。戸建て住宅の85%を占める工務店が作る木造住宅をこのレールに乗せる為の政策。国はそろそろ本気で取り組むべきではないだろうか。筆者は節に願っている。この原稿が国土交通省の関係各位の目にとまることを心より願ってやみません。

文中に出てくる質問状(原本)

国土交通省住宅局
住宅生産課御中
長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)における
維持保全状況等の実態調査に関する質問
 
長期優良認定住宅発足から12年経過し令和4年度末における認定実績累積は1,330,333棟に達している。令和3年度の戸建着工棟数における長期優良認定住宅は118,289戸で新築全体に対する割合は27.7%。(国土交通省HP長期優良住宅建築計画の認定実績 資料1) 
構造別でみると一般工務店での割合は18.8%。S造(ハウスメーカー)は82.9%(平成29年・国土交通省長期優良住宅制度あり方研究会資料38P 資料2)でまだまだ普及率は低い。
しかしながら同法基準で建てられた家は構造及び設備に関して長期に住み続けられる事を考慮した設計であると同時に長期維持保全計画を作成しその計画通りに維持保全を実施し、その記録を保存する事が条件とされている。ということは既に130万件強の戸建住宅において住宅履歴の蓄積がなされているという事になる。住宅履歴の蓄積は既存住宅流通活性化の観点から国の重要な施策であるとされている。
しかしながら日本の戸建て住宅における長期維持保全計画と点検の実施に関しては一向に進んでいるとは見受けられず公開された実施データも見当たらない。
認定者である所管行政庁は建築計画の認定作業と同等に計画通りの維持保全がなされているか、またその記録が保持されているかの把握に努めるべきであり、仮に住宅履歴の蓄積が当初の予定と異なっている場合、何らかの改善処置を行わなければならないのではないか。
平成26(2016)年度より同法12条に基づく認定長期優良住宅の維持保全状況に関する抽出調査を実施していると聞く。令和2年度では平成21年度着工の56,146件(10年点検)と26年度着工の98,704件(5年点検)に対して、それぞれ約1割程度を目安に調査(大阪府守口市役所都市整備部住宅まちつくり課開発指導HP)とあるがその実態について確認したい。
「国土交通省としての長期優良認定住宅における維持保全状況の実態調査対応状況」
1. 各所管行政庁別の調査実態の把握はなされているか?
2. なぜ全数ではなく1割程度にしか確認を取らないのか?
3. お尋ねに対する回答率はどうか?
4. 定期点検の実施率と記録保持率はどうか?
5. 実施していない場合は所管行政庁から助言や是正指導があるという事だがどのような内容なのか。またその実施件数はどうか?
6. 上記内容を公表する予定はあるか?
7. 上記調査結果からして長期優良認定住宅の普及は順調に進んでいると考えているか?
8. 長期優良住宅普及に伴う住宅維持管理記録の保持の実施率目標は設定しているか?
9. そのための具体策は何?
 
「一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会について」
当団体は平成22年(2010)年に設立され令和2年(2020)年時点31機関 ID発行数 130,169件と公表されている。また年間3000万円程度の補助金が国土交通省より交付されており、長期優良認定住宅の普及に貢献する団体とされている。
 
1.長期優良認定住宅の累計が130万件に対して当該団体のID発行数は13万件との事だがこの乖離は何を意味するのか?
2.当協議会においてはID発行に対し手数料を徴収しているようだがID発行にはどのような意義があるのか?
3.13万件のID発行済み住宅では全て長期修繕計画通りの維持管理とその履歴データが蓄積されているのか?されていないとすればその理由は?
4.長期優良認定住宅の普及に当団体が寄与していると10年間判断している根拠は?
5.当該団体への補助金交付が妥当であると判断できる資料は存在するか?
 

長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)における

維持保全状況等の実態調査に関するヒアリング結果

日時 令和5年3月15日 15:00~17:00

場所 衆議院第一議員会館1016号 

参加者 既存住宅流通研究所 中林昌人 他2名

国土交通省住宅局 住宅生産課 4名

「国土交通省としての長期優良認定住宅における維持保全状況の実態調査対応状況」

  1. 各所管行政庁別の調査実態の把握はなされているか?
⇒調査結果は国土交通省に報告しており、実施されていることを把握している。
  • なぜ全数ではなく1割程度にしか確認を取らないのか?
⇒抽出割合は所管行政庁が事務処理能力等に応じて判断している。
  • お尋ねに対する回答率はどうか?

⇒平成27年4月~平成28年3月までに工事完了した住宅

【対象物件数、回収状況】

 対象物件数 (a)報告依頼 発送件数(b)報告受領済 件数(c)抽出率 (b/a)回収率 (c/b)
合計89,0107,7516,8088.7%87.8%

平成22年4月~平成23年3月までに工事完了した住宅

【対象物件数、回収状況】

 対象物件数 (a)報告依頼 発送件数(b)報告受領済 件数(c)抽出率 (b/a)回収率 (c/b)
合計77,0767,4216,1679.6%83.1%
  • 定期点検の実施率と記録保持率はどうか?

⇒平成27年4月~平成28年3月までに工事完了した住宅

 合計記録等の保存状況維持保全の状況
適切不適切適切不適切該当なし
合計6,808件 100%6,588件 96.8%220件 3.2%6,446件 94.7%152件 2.2%166件 2.4%

平成22年4月~平成23年3月までに工事完了した住宅

 合計記録等の保存状況維持保全の状況
適切不適切適切不適切該当なし
合計6,167件 100%5,939件 96.3%228件 3.7%5,970件 96.8%183件 3.0%14件 0.2%
  • 実施していない場合は所管行政庁から助言や是正指導があるという事だがどのような内容なのか。またその実施件数はどうか?
⇒各所管行政庁より適切な助言指導を行っていると聞いている。内容については特に国としては指導していないが、「今後はきちんと点検をしてください」と言った基本的な事と理解している。
  • 上記内容を公表する予定はあるか?
⇒特にその予定はない。
  • 上記調査結果からして長期優良認定住宅の普及は順調に進んでいると考えているか?
⇒記録の保存状況及び維持保全の状況はこの数字を見る限り概ね順調に推移していると思う。

Q どうも、我々工務店と直に接触している人間からすると数字が良すぎるような気がする。お尋ねが届いた施主が工務店に相談して慌てて検査をしたという事ではないだろうか。お尋ねが届いた10%の人しか実施していないという可能性も無くは無い。だったら全員にお尋ねを発送すれば全員が点検と記録を行う可能性があると思う。

  • 長期優良住宅普及に伴う住宅維持管理記録の保持の実施率目標は設定しているか?
⇒住生活基本計画において長期優良認定住宅のストック数を令和12年には250万戸とする目標値を定めている。点検実施と記録保持は当然の事なので特に実施率目標は設置していない。
  • そのための具体策は何?
⇒現在の施策を引き続き実施する。

追記・要望

 ・建築主が自分で点検して記録すると言ってもどうやればよい良いのかが分からないと思う。大手ハウスメーカーの様に工務店が代行しようと思っても人手やコストの問題で中々実現しない。その為の我々維持点検代行会社が存在するのでもっと有効活用できるよう国土交通省としてもご検討いただきたい。

 ・提言書を作ったのでご検討頂ければありがたい。いいかげん建てた家の価値が20年でゼロになるような悪しき慣習を払拭しなければならない。その為に長期修繕計画の立案と維持点検の実行と記録保持が最も必要だ。

 ・家を建てた国民一人当たり2千万円損をするような社会で良い訳ない。我々民間業者も努力するので国もこの施策に対するご理解を深めて頂けるようお願い致します。

2023年3月16日

文責 中林昌人

国土交通省住宅局への要望書

このやり取りの後、改めて日本の木造住宅の価値と寿命を長くする提案書を提出した。その後、反応は何もない。

定期点検及び長期修繕計画の実行と記録に関する提言

(戸建の定期維持管理はなぜ進まないか)

現状

長期優良住宅の条件である維持保全の実施とその記録は住宅の持ち主の義務とされている。しかしながら優良ストック住宅推進協議会に加入しているような大手ハウスメーカーは全て代行している。その結果ほぼ全数定期点検及びその記録保持が出来ているとされている。半面、中小工務店は上記の実施義務は施主にあるという法律面の建付けから自分たちで実施しようとは考えていない。実施しようと考える工務店もわずかにいるが人手不足やコストがネックで普及しない。そして施主も自分で点検しろと言われてもどうすればよいか分からず維持保全点検件数は停滞している。

その結果、ハウスメーカー施工以外の日本の戸建ての流通価値が20年でゼロになってしまうという悪習慣が続いているのではないだろうか。

対策案

  • 施主も行えず、工務店も代行不可な場合、点検代行会社の利用という手段がある。資料①「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル資料・住宅維持管理法」
  • 現時点で施主や工務店の代わりに長期点検と記録保持を業務として行う業態の会社が何件か存在するがその普及率は低い。
  • 点検の実施と記録の保持に関するコストを誰が負担するかという問題があり施主はお金を払ってまで点検する意義が理解できない。
  • 施主もしくは工務店が「点検と記録保持代行会社」をもっと使いやすくすることを国の施策とした場合その実施率は増加すると思われる。。
  • 本来であれば長期優良認定住宅だけで無く、全ての住宅に適応するべきだが長期優良認定住宅から始めることも有益な手段と言える。
  • そもそも長期優良認定住宅普及の促進に関する法律には車の車検同様に定期点検を義務つけるべきであった。
  • 既に建築済みの133万件の長期優良認定住宅及びこれから新築される長期優良認定住宅に対し「点検代行と記録保持」に関する費用を補助金として支給し、点検実施と記録保持を増大させる案を提案する。

点検コストの実態

  • 現在 住宅情報蓄積・活用推進協議会「いえかるて」等に参加している団体のシステム利用料金は1件あたり3万~5万円と言われている。一般市民は料金を払ってまでこのシステムに加入するメリットが見いだせず普及していない。
  • 定期点検(インスペクション)は既存住宅状況調査技術者等の資格者が行えば1回5万円から8万円の費用が発生する。建築士でない場合は3万円から5万円の場合もある。
  • システム利用料と少なくとも30年間で3回の定期点検(国は最低でも10年に一度の点検が推奨されている)の費用は

3万円~5万円(システム利用料)+3万円~8万円(点検料)×3回=12万円~29万円。

(但し、実際に住宅を本当に長持ちさせようと思えば大手ハウスメーカーが実施している5年に一回の点検・補修が望ましい。ハウスメーカーはシステム利用料も点検料金も無料である為、5年目点検から60年点検まで12回の定期点検を受けられる。)

補助金支給案

1・認定条件の30年間の点検及び記録の実施を条件にシステム利用料の上限4万円 点検料の上限5万円×3回=15万円 計19万円を建築時に補助金支給する。(初年度ローン控除上乗せ等財源は様々)

 *4万円以下のシステムを利用しても良いし、点検料も3万円の業者にして5回にしても良いことにする。

2.予算規模(年間供給数500戸以上のハウスメーカーは対象外) 資料②

 対象1 年間施工戸数が1戸から49戸の零細事業者による施工1.5万戸 

   *19万円×1.5万戸=22億5千万円

 対象2 年間供給戸数が1戸から499戸

   *19万円×2.7万戸=51億3千万円

 *既存ストックの有効活用と流通市場形成分野に於いて「良質な既存住宅ストック形成」及び「既存住宅流通・リフォーム市場の活性化」に有効な策と思われる

 *対象1 22.5億円の場合、令和5年度優良住宅整備促進等事業補助費236億円の9%

  • 点検内容を各認定所管行政へ指定する期間毎にデジタルで自動報告できるようにしておけばいちいち郵送でお尋ねを発送する必要もなければ建て主もその都度報告する手間も省ける。さらに返送された文書を集計報告する作業も必要なくなる。当たり前に長期優良認定住宅の維持点検記録実施率が把握できる。そのように利用してこそのデジタルシステムではないだろうか。

補助金支給後展開

  • 当補助金は期間限定(5年から10年)で良いと思われる。
  • その間、ハウスメーカーが15年前から行っている「住宅履歴を持つ既存住宅の適切な流通評価基準」が展開されれば自分の物件の価値保全の為に20万円程度の負担は合理的であるという判断を消費者は行えるようになる。維持点検、修繕をしなければ20年で流通価値ゼロ。しっかりと維持管理を行いその記録を保存しておけば構造躯体価格は下がらないという市場を作り出していく事が可能となる。
  • 勿論、国としての啓蒙や業界としての告知、展開も必要。

懸念点 悪徳点検業者排除の為の施策

参考資料 「住宅維持管理法」にも記載されているが、自宅の点検、維持管理の代行が一般的になると無料点検を餌に悪徳業者が跋扈する可能性が出てくる。一時期問題となった悪質シロアリ業者や飛込リフォーム業者等同様な悪徳商法が予想される。

そうした問題が発生する前に国としては「点検代行会社」を登録制とし、最終的には宅地建物取引業の様な免許制にするべきだと思われる。

なぜなら国民の大切な財産である自宅という不動産の価値を担保する業務を行うからである。

解決策(案)

検代行会社の業務管理団体設立案(概要)

1.点検内容の統一と第三者化

・長期点検の内容については一次インスペクション基準等の共通フォーマットが存在するが団体設立を機に各業者の点検内容を確認し公的な内容として国の認可事業とする。点検技術に関しても講習等で一定のレベル確保が必要。建築した工務店以外の第3者が点検することによって点検品質が確保されるようにすることが必要。

2. 点検記録の改ざん防止(公的な記録として保存する)

・点検記録は既存住宅流通時(売却)に価格が適正であるかの重要な判断基準となる。(車検証と同等)従って民間車検場が定期的に検査を受けるのと同様点検代行会社に対する研修も定期的に行う必要がある。また保存された点検内容が改ざんされない様ブロックチェーン技術等による保護も必要。

最後に

日本国は過去に住宅の維持管理分野にて特に効果的な対策を施さなかったことにより国民全体で500兆円の資産を失ったとされています。 資料③

国富として住宅の資産価値維持に取り組むにあたり、リフォームやシロアリ業界の様に何か問題が発生してから国が規制に入るのではなく、制度設計の段階で業界の正常な発展を導く仕組みを導入するべきであるのではないでしょうか。

以上

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残価設定型住宅ローン対応住宅についての考察

2022/1/23

既存住宅流通研究所 中林昌人

オートローンは残価設定型に置き換わる?

車の購入にあたり残価設定ローンが普及している。

あらかじめ何年か後の買取り価格分を差し引いた残高に対しての返済額は全額購入に対して割安になる。少ない費用で新車に乗ることが出来、何年か後に新しい車種に比較的容易に乗り換えが出来ることで人気がある。

 単純比較として300万円の車を金利3%で3年ローン(36回払い)で購入すると毎月の支払いは87,240円。3年後の残価が150万円として残価設定ローンを組んだ場合毎月支払いは43,622円と毎月の差額は半額となる。同じ返済額であれば倍の価格の車に乗れることも魅力となる。(実態は残価に金利が掛かるのでこの通りではないが)

今までであれば87,240円を3年間支払い150万円で下取りに出して買い替えていたが、単純に毎月返済が楽になるという点で選択肢が増える。

毎月の返済額が安くなるという事は購買意欲が高まるだけでなく購買力が高まる事にも繋がり各自動車メーカーがこの形態のローンを推奨していることも頷ける。

住宅業界においてのローンはカーローン以上に重要性は高い。キャッシュで購入できる層はほんのわずかでありほとんどの購入者は年収の何倍もの長期ローンを組んでいる。

なぜ残価設定型ローンは自動車市場で広がったか?

元々自動車業界では中古市場が確立していた。

車種にもよるが、何年か後の買取り価格はある程度予想できる。そして下取り額を頭金にして次の車に乗り換える事が通常可している。

それでも現在残高設定型ローンが普及しているのは

  • 毎月の返済を安くすることによって販売促進に繋がる
  • 何年か後に程度の良い中古車の仕入れが約束されている。
  • 同じディーラーでの新車購入が買替の条件となっている。

以上の様な理由(一人の顧客で3回のビジネスチャンスが有る)で各自動車メーカーの顧客抱え込み戦略として拡大している

住宅業界における残価設定型ローンの実情

国土交通省では2020年、住宅用残価設定型ローンを普及させようと官民協力事業として普及の取り組みを始めた。しかし日本に於いては欧米に比べて中古住宅市場の確立がなされておらず10年、20年後の住宅評価基準も曖昧であり各金融機関は残価設定のリスクを取りたがらない。

唯一成立しているのは、新生銀行が旭化成ヘーベルハウスのみを対象とした商品とされている。

これは優良ストック住宅推進協議会を立ち上げた旭化成不動産レジデンスの自社商品査定及び買取りスキームを前提に作られている。スムストック査定を基準として20年後、30年後の自社商品の価値を把握しており買取り及び販売ルートも確立している。

勿論60年間自社商品の維持点検を行い、その記録を保持する長期維持管理システムがその土台となっている。

住宅に残価設定型ローンは必要か?

何らかの理由でその場所での居住期間が10年程度と決まっている人が居るとする。通常だと賃貸マンションを選択すればよいが日本にはファミリー向けの良質な(例えば100㎡以上の)賃貸マンションは少ない。また良質な戸建の賃貸は皆無に等しい。

基本性能の良い(断熱、耐震等)戸建て住宅に一定期間住みたいという需要に対して残価設定型ローンは使い勝手の良い物になる。今までは一定期間居住した後に不動産市場で個別に売却をしなくてはならなかったが、あらかじめ設定された価格で引き取ってもらえるのであればその手間が省ける。実際に自宅の売却は不動産会社の選定から査定基準の確かさの確認等、一般個人としては想像以上のストレスが掛かる。その手間が省けるという事は大いに価値のある事と言える。

 また、今後日本に於いても住居のあり方は多様化している。昭和の時代に有った住宅すごろくの概念も既に消滅しており、終の棲家である一戸建てで一生を終わるという選択肢も減少している。

実際に35歳程度で子供2人の4人家族が100㎡前後4LDK戸建て住宅を購入。二人の子供たちに個室を与えても使われるのは10年~15年のケースが多い。その後はめったに入室しない6畳間が二部屋2階に放置されるという状況が続く。挙句の果てに耐震性能を向上するためには減築をしませんかと言った無駄な投資をする羽目になるやもしれない。

そのようなライフステージの変化をあらかじめ読み取って一戸建てに住むのは子育て期間中の15年と決めてその後は夫婦二人で小ぶりのマンションに移住するという計画を組んだ場合、15年間の返済金額を減らしてその分貯蓄に回すという選択肢が現れる。ローン返済に縛られる比率が減少し、マネープランの自由性が増すことになる。

勿論、現在の様な不動産の買替という選択肢もあり適正価格で売却できるように維持管理に努めるという選択肢もある。しかし前出の売却にまつわる不動産業者とのやり取りのストレスを考えると今まで仕方ないと思いっていた事を避けるという選択肢が現れる。

国土交通省が推奨しようとしているのになかなか実現しない理由

車で出来て住宅で出来ない理由

  • 車には車検があり、3年後5年後の性能が保証されている
  • 車には中古車市場が出来上がっている。新車6割中古車4割
  • 車検以外にも定期点検制度があり、オイル等消耗部品の交換は常識になっている。

日本の戸建て市場では

  • 一般住宅の維持管理は義務つけられていない。外壁、屋根の塗り替え等必要なメンテナンスの実行は個人任せとなっておりその実施率は計る事が出来ない。長期優良認定住宅では30年間の維持管理と記録保持が義務つけられているが主体者は個人(オーナー)でありその内容や手段は確認のすべはない。
  • 中古住宅の流通量は全体の約17%(市場そのものが小さい)。
  • 中古住宅の質や価格を決定する明確な基準が無い

とされており、安心して購入できる商品が無いので市場も貧しい

ではどのような中古住宅であれば安心して購入できるのか?

車であれば、事故や故障の履歴が無く点検の記録が有り消耗部品の交換等の整備がされていれば安心して購入できる。価格構成の要因は走行距離や人気の有無とされる。

走行距離はその車の耐用年数や走行可能距離から逆算することになり残りどれだけ快適に使用する事が出来るかどうかという価値である。

人気はその新車時における人気や総販売台数等が影響してくる。

それを住宅に置き換えてみた場合どうなるか。

残価設定型ローンに対応できる商品(住宅)とは

  • 新築時の資料が揃っている。建築請負契約書を始め、建築確認申請書類や検査済証等建築主が工務店から受け取る資料が全て揃っていれば購入者の安心感は担保される
  • 長期修繕計画が存在し、定期点検と併せてその計画通りの修繕がなされており記録が存在する。車検と同じ理屈である。大手ハウスメーカーでは自社による点検と記録保持があるが、この点検内容の確からしさ(エビデンス)は大手である事の信用力が担保している。一般的な工務店ではどうか?

ハウスオーナーと工務店の間での点検記録の共通化は特に問題は無い。

しかし、其のデータを基にその住宅の価格査定を購入者が判断する場合はどうであろう。やはりそこは民間車検場の様な一定の資格を持つ第三者による点検が必要であろう。そしてその点検記録は部外者による改ざんを防がなくてはならない。

ブロックチェーン等の技術を利用した公的記録として保管されていることが望ましい。

具体的な点検記録とその修繕内容

  • 新築後2年、5年、10年その後は5年毎の定期点検。点検内容については国交省推奨の一次インスペクションや、プレハブ協議会監修のスムストック住宅診断等を参考に内容を公にする必要がある。
  • 屋根、外壁、基礎等構造躯体に関する修繕は長期修繕計画通りに実行されている事。当然、施工者、その仕様書価格等の記録は蓄積していく事が必要

評価基準(仮称Rストック評価システム)

新築価格(請負契約書がある場合はその価格それ以外は推進センターの標準価格を利用)

の60%を躯体の価格 40%を内装設備の価格と仕分ける。構造躯体と内装設備の償却を分けて評価する。

また新築時に於ける工事中の第三者機関による品質検査や、地盤保証等は構造躯体価格の評価ポイントを一定数割増する。その後は既に普及しつつあるスムストック査定と同様に土地価格と建物価格を分けて査定、表示する。

構造躯体価格

上記のメンテナンスを実施し記録がある事を条件に下記の査定方式で計算する。

AAA 長期優良認定住宅の構造躯体耐用年数は100年で計算

AA   劣化等級3 構造躯体 耐用年数   75年

A   劣化等級2 構造躯体 耐用年数   50年

上記以外      構造躯体  耐用年数  30年条

*5年毎に瑕疵担保責任保証が延長されている場合は評価を一定数アップさせる

*5年毎に防蟻処理が施されている場合は評価を一定数アップさせる

内装設備

基本は20年で償却。但しリフォームをした場合施工金額の70%の額を復活。そこから20年で償却

長期優良認定住宅査定価格の減価イメージ

残価設定手法

上記条件を満たした前提でX年後の査定価格を算出。

買取り前提として80%の価格設定を行う。この買取り価格分を新築価格から控除した金額でローンを組む。

市場形成

上記条件を満たした(点検・修繕済み)の優良なストックを包括的に管理する事が必要。

イメージとしては共通のフォーマットで維持管理を行う団体を作り維持管理の内容を公開できる前提で管理する。

そしてその物件の売却及び買取りを引き受ける不動産業者のネットワークを作る。このネットワークは上記Rストック評価システムに基づいた査定価格にて買取りを行う。

定期的に一定数の良質な中古住宅が供給される事となり、取り扱いが増える事をメリットと感じる不動産業者が参加する事が予想される。また工務店自身も業態を新築一本からリフォーム、そして自らの施工した物件の買取り再販業へシフトしていくことも生き残り戦略として重要な課題だと言える。

期間満了後の選択肢

車の残価設定ローンと同様に次の選択肢も用意しておく必要がある。

  • 残金を一括払いして所有を続ける。
  • 残金に対して再ローンを組み住み続ける

3.リースバックで家賃を支払い住み続ける。一般のリースバックと異なり売却資金は取得できないが賃貸物件として住み慣れた家に住み続けたという希望はありえる。

残価設定ローン対応型商品の企画スケジュール

  • 1 別紙残価設定型ローン対応住宅条件一覧表に準じた長期メンテナンス商品の開発

・当面は工務店向けの商品とする。必須の3条件は標準とし、その他はオプションとして顧客に選別してもらう

2 Rストック査定基準の完成。

・上記条件に基づく査定プログラムを作成。現場にて簡便に利用出来るよう単純化する必要がある。3

3 関係各省、金融機関との調整。

・管轄は国土交通省住宅局だと思われる。対応の可能性がある金融機関は新生銀行やハウスメーカーが出資している日本住宅ローン、イエール等IT系も考えられる。

4 不動産業者ネットワークの構築。

・スムストックを取り扱うメーカー系不動産会社10社 その他取引時にインスペクョンを推奨している「売却の窓口」等既にあるネットワークへアプローチ。

以上の体制が構築できれば残価設定型住宅ローンを利用しないとしても日本の住宅の価値維持と個人資産の保全が可能となり、国土交通省が長年思い描いていた健全な既存住宅流通市場の拡大の可能性が高まります。その為の切り口としてご理解いただければ幸いです。

また残価設定型住宅ローンを利用することによって年収の8倍以上という高価格で高止まりしている首都圏の住宅購入をあきらめていた層にも無理のない形で購入できる可能性が出てくることでしょう。

所有と賃貸以外の選択肢が現れることで日本人の住宅に対する意識が変化し、一生涯住宅ローンに縛られるという不都合な真実からの脱却の一歩となることを信じて当企画書を作成しました。

関係各位におかれましては是非とも実現へのご助言、ご協力をお願い申し上げます。

以上

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株式会社家価値サポート社長インタビュー

(リフォーム産業新聞)

【家価値サポート社長インタビュー】440社の点検引き受け

家価値サポート

中林昌人 社長

リフォーム産業新聞 1387号 (2019/12/02発行) 16面

アフターメンテナンスのアウトソーシングを行う家価値サポート(東京都品川区)。現在440社と契約し、家の資産価値を守るセーフティネットとしてサービスを展開している。中林昌人社長に、アフターメンテナンスの重要性と今後の展望を聞いた。

適正なメンテを普及

――アフターメンテナンスのニーズは高まっているのでしょうか。

 私はハウスメーカー出身ですが、新築を建てて10年が経過したお客様たちの多くが、その後の家のメンテナンスに不安を感じていました。法律的に10年は定期点検をしてくれるけれど、それを過ぎたら知らん顔という業者が多いからです。さらに、そこに目をつけ、悪質な営業をかける業者もいるので、お客様からすればどこに点検を頼めばいいのかわからなくなってしまう。適正なメンテナンスサービスを求めるユーザーは今後も増え続けると思います。

――ハウスメーカーは点検を仕組化していますが、そこが安心感につながっています。

 ハウスメーカーなどは、60年間の定期点検をウリにしているところも多いですよね。そこに魅力を感じて、多少価格が高くてもハウスメーカーに依頼するというお客様も実際に多かった。ハウスメーカーの営業マン時代は、私自身もアフターサポートの年表をクロージングの武器にしていました。

――維持管理をすることにより、今後資産価値に影響がでる可能性もあります。

 ストック流通が増えるこれからの時代を考えれば、資産価値の観点でも、維持管理の重要性は上がるはずです。たとえば、関東大震災の3倍の揺れに耐えられる家であれば、維持管理さえされていれば、その性能は20年経っても変わらない。一方で、同じ価格で建てた家でも、維持管理がされていなければ20年後の資産価値は0に等しい。どちらが得策かは、説明すれば誰でも理解できるはずです。

5年ごとに訪問

――「家価値サポート」では60年のメンテナンスを外注できるわけですね。

 ビルダーやリフォーム会社といった契約会社から委託を受け、5年ごとにお客様のところへ出向いて点検し、メンテナンス計画の作成や住宅履歴の管理・更新を行っています。リフォーム会社は手間をかけずに受注が取れますし、お客様は定期点検のおかげで適切なリフォームができます。

――メンテナンス計画はどのように立てるのでしょうか。

 その家ごとに見合ったメンテナンス計画を立て、処方箋通りに点検、修繕を行っていきます。そしてその履歴を当社が記録として預かります。資産価値の観点で特に重要視するのは、耐震性と断熱性の維持。基準にするのは性能表示制度です。

――現在、契約会社数はどれくらいですか。

 約440社で、動いている物件は2000戸くらいです。定期点検10年分の初期設定は約30万円~。この中には5年目の防蟻費用も含まれます。日本長期住宅メンテナンスと連携し、防蟻の点検・処理についてはお任せしています。

資産価値向上を

――ただ、まだまだメンテナンス費用を定期的にかけているユーザーは少ない。費用を提示した際の反応はどうでしょう。

 嫌な顔をする人もいます。ただ、メンテナンスをすることで30年後の資産価値がどうなるのかを提示するのは、建築業界の良心ではないかと思っています。第三者的な家の維持管理業社として見守ることで、ユーザーは家の資産価値を保て、買う人も価値のある家が手に入る。そうした良いループを作ることが、日本の既存住宅流通に一番必要なことではないでしょうか。

――定期的なメンテナンスにかかる具体的な費用はどのくらいと想定していますか。

 年間平均28万円です。今後はオプションとして、修繕積立金の積立モデルを作る予定です。これが実現すれば、建築業界と維持管理業界がタッグを組んでお客様に適切なサービスを提供できるようになります。

――今後の展望は。

 まずはリフォームネットワークと連携し、工事をしっかりと回せるようにすること。あとは、維持管理の出口として、不動産会社とのネットワークを構築することです。不動産会社と連携できれば、「本当にこの値段で売れるの?」というユーザーの不安も解消できる。きちんと維持管理された物件に適正な査定金額が付くように、中古流通の仕組みそのものに切り込んでいきたいと思います。

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家価値60年サポートという商品

2017年 6月 優良ストック住宅推進協議会を退任

住宅の寿命と価値を長持ちさせる仕事に8年間従事していた私は日本の戸建て住宅の7割を占める工務店が作る木造住宅に対して長期点検維持管理システム「家価値60年サポート」という商品を作りました。

家価値60年サポート | 商品紹介 | 一般のお客さま | ハイアス・アンド・カンパニー株式会社 HyAS & Co. Inc.

当時「住宅を資産に」を理念としていたハイアス・アンド・カンパニー社と共同して「株式会社家価値サポート」を設立

news_pdf.php (hyas.co.jp)

建築家と作る高性能木造住宅「R+ハウス」を作る工務店向けに商品展開を行いました。

ハイアス、長期アフターメンテ事業を強化

不動産ニュース / 仲介・管理

R.E.port

2019/6/26

適切な時期に適切なメンテナンスを施していくことが住まいの資産価値を維持することに繋がると訴える中林氏
ハイアス・アンド・カンパニー(株)は、戸建住宅向けの総合アフターメンテナンス事業(家価値サポートサービス)への取り組みを強化する。今年5月、同事業を会社分割し、新会社「(株)家価値サポート」(東京都品川区、代表取締役社長:中林昌人氏)を設立。25日、工務店関係者などを対象にした設立記念講演会を開いた。
 同事業は2018年4月から開始しているもの。顧客の長期のアフターメンテナンスニーズに対応できない中小の工務店をターゲットに、建築後60年間の長期修繕プログラム、住宅履歴管理・更新、定期点検、防蟻工事・保証をパッケージで提供。工務店が万が一倒産した場合も、第三者機関でサポートを継続できるのが特徴。すでに、400社超の工務店とその顧客にサービスを提供している。サービス価格は、標準プランで戸当たり27万円(防蟻保証5年間)。
 講演会では、中林社長が同社のサービスを核にした、新築着工減少局面でのストック型ビジネスモデルについて解説した。同氏は建物の品質が軽視され、建築後20年で価値ゼロとなる業界慣習を指摘。「住宅事業者による長期的なアフターサポートは極めて少ない。どんな家でも手入れされなければ朽ち果てる。良質な既存住宅が市場にないからユーザーが買わない。供給者と流通業者が消費者を不幸にしている。適切なメンテナンスで木造住宅の快適性と資産価値を長持ちさせ、購入価格で住まいを売却できる社会の仕組みを作りたい」と抱負を述べた。
 また、資産価値を維持するためには、点検やリフォーム等に年間平均28万円前後をかけていく必要があるとし、「アフター領域からの収益を獲得していくことで、新築に依存しないロングスパンの収益構造が確立できる」とアピールした。
 同社は、向こう3年間でサービス利用社を1,000社まで拡大。対象管理戸数も1万戸超を目指すとしている。

re-port.net/article/news/0000059417/

この画像は会員工務店様向けに「長期的な住宅維持管理を行いその記録を保持することが工務店経営に如何に大切か?」という内容を解説したセミナーです。

家価値社ポート社の代表 中林氏による会員向け導入セミナ vo1 日本の中古住宅はなぜ20年で価値がゼロになるのか?なぜ資産では無く負債になってしまうのか?を分かりやすく解説。

家価値サポート社の代表 中林氏のセミナー2 日本の既存住宅流通を変えたスムストックとは? なぜ20年以上も住宅の価値が維持できるのか?その秘密を分かりやすく解説。
市場の動向とこれからの住宅産業者生き残り戦略を分かりやすく解説。
ハウスメーカーはどのようにして地元工務店を競合排除しているのか?その秘密トークを初公開

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マンションの長期維持管理についての考察

副題 快適に100年以上住めるマンションを作る

2020年 国土交通省は日本の居住形態のスタンダードとなりつつあるマンションに関し「マンションストック長寿命化事業モデル」を募集し始めた。区分所有法という特殊な権利形態で多数の所帯が一棟の建築物を共同所有し住み続けるという今までに日本に無かった形態の今後を憂慮する試みだと思われる。その募集に対して私が所属するとある建築士の集まりが応募した案の中で、ただ単にハード的な長寿命化だけではなく資産価値を維持しつつ区分所有が個々の財産となるような仕組みについて提言致しました。

1.マンションの適正な寿命について

鉄筋コンクリート造りのマンションの寿命に関しては諸説ありますが管理の状況に左右されることは言うまでもありません。既に築50年程度で住居としてふさわしくないような廃墟物件も散見されます。コンクリートの躯体そのものが劣化している場合は建替えも検討しなければならないのです。

しかし、マンションの建て替えに関しては色々な問題があり、大幅な容積率アップというボーナスがあった場合のみ成功しているようです。現に築40年以上旧耐震のマンションストック数が約104万戸(マンションストック数の約16%、令和元年末 国土交通省資料)ある中で建て替え終了した物件は254棟。104万戸を平均戸数52戸で割ると2万棟。建て替え率はたったの1.3%。

 物理的な制約や、資金計画、そしてなにより区分所有法で定められた5分の4の賛成という合意形成。そして反対者の住戸の買い取り等、マンションの建て替えがいかに困難であるかが理解できます。

そもそも、マンションの躯体は鉄筋コンクリート造です。

法定耐用年数という税務上の概念によるとマンションの寿命は47年とされていますがこれにはほとんど意味がありせん。例えば木造住宅の耐用年数は22年であり多くの金融機関はこの耐用年数に応じてローンの返済期間を設定しています(投資アパートのの場合)流通業界においても築22年で木造住宅の評価はゼロ円と言う悪しき慣習がまかり通っています。

その一方で国土交通省が推奨している長期優良住宅においては木造であってもその躯体の耐用年数は100年とされています。最もその間定期的に修繕(メンテナンス)工事を行う事が前提です。

そして、平成25年の「中古流通促進・活用に関する研究会」報告書では鉄筋コンクリート造の集合住宅(マンション)における物理的寿命を117年と推定した事例(飯塚浩(1979)「建築の維持管理」が紹介されています。

本当に旧耐震だからといって築40~50年のマンションを建て替えなければいけないのでしょうか?現行の区分所有法における建て替えの合意形成が困難であること、そして解体工事が環境に及ぼす影響を考えてもマンションは耐震性能向上を施した上で構造躯体及び給排水管等の生活必要設備を適正な維持管理を継続する事によって100年以上もたせる。そして区分所有内部は住宅設備等の交換やライフステージに合った間取りの変更等で居住者構成にあった快適な住まいとして存続し続ける住まいであることが必要なのではないでしょうか。

2.マンション寿命長期化に必要なこと

①長期修繕計画期間の延長と精微化

現行では新築マンションの長期修繕計画の策定は30年以上とされており、修繕金の積み立額も第一回目の大規模修繕(12年から15年程度)までしか考慮されていないケースが多いと思います。また、通常マンション分譲業者は新築販売時の長期修繕積立金の額を低めに設定しており第一回目の大規模修繕時に積立金不足が露呈することが多いとされています。

本来であればマンション管理組合は分譲業者から引き渡しを受けた段階でまず第一回目の総会で長期修膳計画をコンクリート構造の耐久年数を考慮して最低100年以上の計画立案する事が必要となるのです。

当然の事として維持点検及び補修の内容は全てデータとして長期間保管する体制も構築することが必要。区分所有者すなわち組合員が自らの意思で自分たちの家を長期間快適に住み続け、なおかつその資産価値を維持するという目的に向かって動くかどうかがマンションの長寿命化に取って一番大切な事であると思います。

ではどのような長期修繕計画が必要なのか?

②管理組合の適正な活動における所有と経営の分離案

管理組合の運営と会社経営の親和性

上記修繕計画を可能にするには長期間にわたる安定した資金計画が必須条件となります。そして資金計画は収入と歳出のバランスが一番大切です。

歳出の中心である保全工事も建築工事費用と同様積算の精緻化が求められます。

新築マンションの購入者はその価格に占める建築コストを知るすべはありませんが、後のすべての補修保全費用に関しては自らが毎月支払う管理費や修繕積立金から支払われるわけでいうなれば自らがコントロールできる範疇と言えます。

管理費、修繕積立金は当初はマンション分譲会社が指定した管理会社によって予算化されているのですが各項目には見直しをする事で削減できる費用もあります。

実はこれは会社経営でいうところの売り上げと経費の関係に相当するのです。しかし殆どの組合員は建築に関して素人であり自らでのコスト分析は不可能です。そしてそれは組合員の代表である理事長も同じこと。

そこで、管理組合の運営を会社経営とみなしてみるとどうなるでしょうか。理事長は社長、理事は役員、そして組合員は株主。マンションの資産価値は株価と置き換えてみます。

理事長(社長)はマンション全体の住人が快適に暮らす環境の(会社員が快適に仕事をすることが出来る)提供と共に毎年の管理費の使用状態をチェックし(年度決算を黒字化する事に責任を持ち)マンション全体の資産価値向上(株価の長期安定及び価格上昇)の施策を打つのが仕事と改めて再定義を行うのです。

もちろん、組合員(株主)に対して長期修繕計画(中期経営計画)を提案し信任を貰うという手続きを踏む必要性もあります。

また管理費、修繕積立金の滞納問題についても現状では管理会社は督促状を3回まで送付する義務のみでそれ以上の責務は免除されています。長期滞納に対する債権回収のノウハウも民間企業に準じたやり方があると思われます。結局マンション管理組合活動は本来は株主から委託を受けた専門家がその知見と実行力を屈指して行う経営を素人が行っていることになります。だから多様な問題が発生しすることは必然という事になってしまいます。

管理組合の法人化と理事長代行会社の活用

現法(区分所有法)及び旧標準マンション管理規約では区分所有者全員による自治管理が前提での運営が求められていたので、殆どの管理組会の理事及び理事長、監査役等は区分所有者で構成されています。現理事や理事長に関していえば70%に組合が輪番制であり、専門家でも無い人がやりたくもないのに無理やりやらされているという人が殆どなのではないでしょうか。なにかPTAの役員問題みたいですね。

更に全くの素人が何億円もの予算を管理し、大規模修繕時にはプロの業者と渡り合わなければならないのです。また管理会社も当然自社の利益誘導を主眼としてアドバイスをするケースも多いです。そこで管理組合として有料でプロのコンサルタントを雇っても逆にそのコンサルタントが業者と癒着しているというケースもあります。素人集団がこの様な悪意を持って接してくるプロに対抗することは非常に困難であると言わざるを得ません。

一般的には管理組合員すなわち区分所有者全員が経営参画を行う事がそのマンション全体の価値を高める行為だとされています。年1回の総会出席率を見るとそのマンションにおける参画意識が図れ、その率が高いマンション程資産価値も高まるといわれています。しかし、参加者が多ければ意見も多種多様なとなり、参加者がそれぞれの主張を行い罵声や怒号が飛び交い総会が成立しない事例もあります。そのコントロールを素人の理事長がコントロールすることは容易ではないと思います。一方、活動に興味を示さない組合員が多数のケースでは長期間理事長をしていた人間が積立金を使い込む等の事件も散見されており今後も増加傾向の心配があります。

そこで素人が輪番制で組合の運営を行う事自体元々無理な事と言う認識に立てば解決方法が見えて来ます。

仮に管理費2万円、修繕積立金1.5万円、世帯数100世帯の標準的なマンションで考えてみると管理費月200万円年間2400万円。修繕積立金150万円年間1800万円。年間合計4200万円の予算の執行が素人によって行われているということですね。

大規模修繕に至っては年間1800万円×15年=2億7000万円という大金を素人集団である理事及び管理組合員が意思決定することになります。そして大半の組合員は特に興味を持たないので理事に委任するか、逆に素人考えで無駄な金は使うなという主張と最新の設備に入れ替えるべきだという意見が対立し混乱を極めるケースも出て来ます。

これを会社の経営に置き換えてみると年間4200万円の予算執行を何の責任も取らない素人社長が采配し、会計監査も会計知識が全く無い素人がめくら判を押していることになるのです。この会社がどのような経営状態になるか想像するに難くないですね。これが現在の日本におけるマンション管理の実態と言えるのではないでしょうか。

したがって、満足に積み上がらない修繕積立金問題や相続拒否による管理費、修繕積立金の滞納問題が起きます。会社経営でいえば債務超過による経営破産状態に陥っているマンションが既に日本国中に溢れています。すべてのマンションが廃墟化に向かってまっしぐらと言っても過言ではない状態と言えるかもしれません。

標準管理規約の改正

平成28年、あらゆるマンションの管理規約の雛形として活用される国土交通省監督の「標準管理規約」第35条管理組合の役員に規定が改正されました。当初は理事や理事長は現に居住する区分所有者の中から選任するという規定が平成23年には居住という条件が廃止、そして平成28年には「外部専門家を役員として選任できることとする場合」という条文が追加されたのです。いわゆる第3社管理方式が可能となり、マンション管理運営にプロが参画できる条件が揃った分けです。

令和3年時点で理事長代行を業として行っている団体は既に何団体化が存在します。マンション管理士の団体や管理会社、不動産投資会等多種業態から参入しています。

料金も月額10万円程度から30万円程度と開きがあります。こうなると管理組合はどの理事長代行会に任せるべきかで戸惑いが生じることになりますね。現時点で国の承認を得ている公的な団体は無いようです。

そこで当会では日本建築士会連合会会長が中心となり一級建築士と宅地建物取引士で構成するNPO団体(仮称)「日本のマンションを守る会」を母体とした精緻な修繕計画や積算の正当性を担保出来る主体によるマンション管理運営を会社経営になぞらえて運営する手法を提案したいと思います。そこで当会では現存の管理組合の運営を可能な限り理事長代行会社に移行することを前提として下記の活動を提案します。

以下は「日本のマンションの長寿命化を図る」提案内容です

先ずは建築士、弁護士、マンション管理士等のスペシャリストが集まり、「(仮称)マンション管理組合適正化協議会」を組織する事。これは国土交通省の外郭団体が望ましい。

当該団体の業務内容

1.理事長代行会社の適切な業務内容標準化

  • 理事長代行会社の業界団体を組織化し優良認定を行う
  • 理事長代行会社への移行メリット訴求活動
  • 苦情受付窓口と理事長代行会社への指導

2.現行問題に対する資金的解決方法

マンションを100年以上維持するには長期修繕計画とその実施が必須条件となるが理事会運営の他に下記のような問題点が考えられる

1.世代交代による所有者不明問題

区分所有者死亡による相続登記が義務化されていないため管理費・修前積立金の回収が不可能になる

2.高齢化、一人暮らし世帯の増加による供出金不足

 築年数経過マンションにおいては外壁塗装や給排水管交換等大規模修繕の実施について既に修繕積立金が不足している場合一時金の供出が求められるケースがある。通常は理事会が起案、総会の過半数もしくは3分の2の賛成で可決する。

しかしながら、高齢単身者等で供出をしたくても出来ない、したくないという人が居れば実行は不可能となってしまう。今後のマンション維持の大きな問題点である。

対策案

  • 管理組合による区分所有権の買い取り

管理組合は区分所有者がいる限り継続していく。新築時に世帯数分の区分所有者によって構成された管理組合はその後世代が変わりながら引き継がれて行く。

現民法では区分所有建物の解体及び敷地権の売却は全員の同意が必要とされている。したがって区分所有権の解散をにらんで管理組合を運営する場合、管理組合による区分所有権の買い取りが考えられる。時価で購入の後、賃貸運用をする事によって管理費・修繕積立金の確保と運用益による一時金の供出も可能になる

2.リバースモーゲージによる高齢者対策

自宅を担保に金融機関から融資を受け、生存中には利息を支払い死亡時に物件を売却して一括返済して支払う仕組みであり高齢者が自宅に住みながら一括で資金を得る事が可能になる。融資額から修繕一時金を支払い、残りを生活費に充てることができるという融資スキームである。一般的にはマンションでは利用できないケースが多い。金融機関が土地本位でしか担保評価したがらない事と、マンションの資産減少リスクが読めないことが原因と考えられる。

今回の提案のような100年資産価値維持事業マンションにおいては資産価値維持対策を施したマンションの資産価値を金融機関に提示することができるので融資の可能性が考えられる。また通常であると売却は相続人によるが、本スキームではあらかじめ相続人の同意を得て、管理組合が買い取り保証額を提示し死亡時買い取りを行う事によって金融機関の同意を得る事が出来る。

3.リースバック方式による資金確保

自宅をいったん売却し、その後家賃を支払って住み続けるというスキーㇺ。売却後に家賃を支払い続けることが必要だがまとまった資金が手に入る事はリバースモーゲージと同様だが相続人の同意がなくても実行可能。現在、一部の不動産業者と金融機関が実施している。

一般的にリース料(年間家賃)は売却価格の8%~10%とされている。例えば3000万円で売却した場合、年間240万円~300万円÷12=20万円~25万円であり相場より高額となる。10%の家賃を支払い続けることは10年で資産を食いつぶすことになる。買い取り業者がとても儲かるスキームと言わざるを得ない。

仮に75歳でこのスキームを利用した場合85歳で資産を食いつぶすリスクが発生する。当事業モデルではこのリースバックを管理組合が主体的に行い利回り5%程度で回るスキームを模索したい。

ピュアコート三鷹 2DK(55.5)を事例に取ってのシミュレーション

売却価格 3100万円

想定家賃 15万3千円(利回り6%)

3100万円÷(15.3万円×12カ月)=17年。

仮に75歳で利用した場合92歳で終了となる。

ここで、管理組合法人として現時点での平均寿命をもとに算出した完済年齢に基づく家賃設定を行う事が考えられる。

つまり、92歳で完済した後は管理費と修繕積立金のみの支払いで住み続けられるという特約を付ける事で老後を安心して住み続けることができる。

以上 マンションの長寿命化策についての3つの策を提言します。

この提言は民間と国が協力して初めて実行できる内容です。

このまま対策を講じなければ日本のマンションは全てが廃墟化の道を歩みます。ハード面、ソフト面両面から考察した本提言を是非採択して頂き全てのマンションの長寿命化を実現するべきであると思います。

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ポッドキャストに出演

2022年9月 リフォーム産業新聞のポッドキャスト番組

「福田義紀の深堀!リフォーム業界」に出演!

4週にわたって住宅ストックビジネスのこれまでと

これからをお話ししました。是非ともご試聴くださいませ。

↓ こちらをクリック(ラジオ番組です)
https://runrig.jp/podcast/fukuda/29.html?fbclid=IwAR1f2Ou7TAD5T-9YY-SeDXbeuH-uEkIrPVHYO1C8SHONKWVA5l5tdX_y6Yk

ゲストは既存住宅流通研究所 中林 昌人様 !住宅業界特化ラジオ「深堀り!リフォーム業界」 (runrig.jp)
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リフォーム産業新聞対談記事

リフォーム産業新聞

インスペクション本格化から5年…中古住宅の住宅診断件数は増えたのか?

既存住宅流通研究所×Non Brokers中林昌人所長×東峯一真社長1507号(2022/06/06発行)13面

中古住宅流通市場を活性化させるには何が足りないのか。ハウスメーカーが建てた中古住宅「スムストック」に長年携わってきた既存住宅流通研究所の中林昌人氏と、インスペクションのアプリ開発や物件売買のウェブサービスの運営などを行うNon Brokers(東京都港区)の東峯一真社長が対談。それぞれの視点から業界の課題に迫った。

【司会・編集長 金子裕介】

既存住宅流通研究所 所長 中林昌人

既存住宅流通研究所 中林昌人 所長

《プロフィール》
ハウスメーカーの既存住宅流通ブランド「スムストック」を運営する優良ストック住宅推進協議会の代表幹事・事務局長などを務める。その後、ビルダーのアフター代行事業を手掛ける会社の代表取締役を務めた。


Non Brokers 東峯一真 社長

《プロフィール》
インスペクション業務を効率化するアプリ「インスペ」、売却サービス「いえうり」など、不動産業界の課題を解決するウェブサービスを手掛ける。

――中古住宅を買わず、新築にした人の理由に、中古には「欠陥」がありそうだったからという調査結果があります。国では、中古住宅の品質をインスペクション(調査)によって明らかにして取引をすることが望ましいとして、2017年、既存住宅の調査の担い手育成を始めました。それが「既存住宅状況調査技術者」と呼ばれる人材です。それから5年。インスペクションは浸透したのでしょうか。

東峯 私どもではインスペクションを効率化するアプリを作っていて、何度も現場にも行っています。例えば木造の築40年の家に行ったとき、天井を見ても何もないのですが、小屋裏点検口を見ると雨染みがある。ですから、インスペクションは大切だと思っているのですが、実際にはなかなか普及しておらず、5年前と今でも実施数は変わらないのではという感じがします。

中林 どうしてなんでしょうかね。私もこの一年で、自分の不動産を売買しましたが、不動産仲介会社の方からは、「インスペクションというものがあるのですが、実際にあまり利用する人はいませんが一応説明しますね」というような感じで、熱心に勧めているような人に会ったことがありませんね。

民間の建物検査(ホーム・インスペクション)の実施状況

東峯 不動産仲介会社の方々は、重要性は理解している方が多いんです。ただ、本当に診断をやって欲しいといわれてしまうと、調整に1週間、診断結果を出すのに1週間といったような時間や手間がかかることを面倒だと感じてしまう方もいると思うんです。また、売り主さんはインスペクションされると、良くない箇所をあら探しされてしまうのではと感じる人もいます。アメリカでは流通する物件の8割くらいがインスペクションされているとも聞きますので、まだまだ日本では浸透していないと思います。

中林 以前東峯さんは、車には車検があって、定期的に診断をして安全性をチェックする仕組みがあるが、家にはそれがないと発言されていましたが、私もそう思うんです。

東峯 物件をいざ売りに出すときに、この物件は検査済みで、こういう状態の家なんですという、「車検付きの家」というんですかね、そういう風に物件が市場に並べば安心感があるので、より買いやすくなるのではと思うんです。そのためには、診断もそうですし、中林さんが手掛けられていた新築後の長期のアフターメンテナンス、そして住宅履歴なんかが整備され、それを公開できるような仕組みにすることが大事だと思うんです。

中林 私は今ある会社と進めているプロジェクトがあるんです。それはきちんと家をメンテナンスしたら「メンテナンス証明書」みたいなものを発行して、いざ家を売ろうと思ったときにその証明書を使う。資産価値について理解がある不動産会社ネットワークと共に、何も手入れしていない家に比べて高値で売れるような仕組みを作りたいと思っています。

今は築20年が経過したら建物価値がゼロ円という査定。そうではなくて、手入れされていた価値があるものにはきちんと値段がついて売れていくというような市場を作りたいんです。メンテされた家であれば、物件を買う人も喜びますし。それに、住宅オーナーの方がなによりも維持管理しようという意欲がわきます。例えば防蟻処理なんかも、やった方が長持ちするということはわかるけど、それだけでは意欲がわかない。物件を売るときに価値がついて高く売れるという「出口」を用意すれば、前向きに防蟻をしようと、なる可能性があると思うんです。

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講演記録

講演(2)

(一社)リビングアメニティ協会   2019年10月10日

2019年10月10日 一般社団法人リビングアメニティ協会のシンポジウムで講演をさせて頂きました。この協会は国土交通省の外郭団体で優良な住宅部品を認定する一般社団法人ベターリビングが母体です。何万点もある住宅部品を検査して優良な部品にBL認定をする団体です。

リビングアメニティ協会はその中で住宅部品の定期点検を推進している団体です。毎年「住宅部品点検の日」というシンポジウムを開催されています。今回で第8回目。今回は私の推奨している住宅の長期維持管理とその記録保持が協議会の理念と一致するという事で基調講演のお声を掛けて頂きました。

当日は私の事務所の近く、水道橋にある住宅支援機構のすまい・るホールにて1時間お話しさせて頂きました。当日国土交通省から来賓でこられた着任されたばかりの住宅生産課の課長とご挨拶できたのが幸運でした。その理由については別の項目でお伝えいたします。

当日の公演内容はその後講演記録として当協会の機関紙「ALIA NEWS」2019年秋号に掲載されました。

協会様からご厚意で掲載文書をPDFで頂きました。ご興味のある方は是非ご覧頂ければ幸いです。

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講演記録

著書と講演(1)

2018年3月 住総研シンポジウム

2015年4月から2018年3月まで一般社団法人 住総研が主催する「住宅の使用価値研究委員会」に参加させて頂きました。委員長は東京大学生産技術研究所所長であり東京大学副学長の野城智也教授。他のメンバーは立命館大学の大垣教授、明海大学の斎藤ひろ子教授、明治大学の園田真理子教授、東京大学生産技術研究所の森下有助教授という教授陣。私は前職である優良ストック住宅推進協議会事務局長という肩書。ただ一人の一般人でした。

住総研ホームページより

そこでは住宅の使用価値(Value in Use)とは何か?それはあくまで住み手から見た価値でありそれを「見える化」することにより中古住宅の価値が評価され、ストック市場の活性化、空き家問題の解決に繋がるという大変高尚なテーマを議論する委員会でした。

建築士会館

委員会は毎回、港区芝にある建築士会館で行われました。実際に中古住宅取引の現場におり、新しい中古住宅の評価手法を広めようと活動していた私と建築学の権威である大学教授達とは最初話が噛み合わずお互い何を言っているのかわからない状態が続きました。野城教授は建築学の大家であり住宅履歴の必要性をいち早く提唱し、住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会(家かるて)を立ち上げられた方。優良ストック住宅推進協議会の立ち上げに際してとてもお世話になっています。 斎藤ひろ子教授は日本で唯一の不動産学部を持つ明海大学の教授で野城教授の後を継いで家カルテの推進に注力されています。大垣教授は住宅金融の専門家であり住宅の資産化を模索され、「移住・住み替え支援機構」を立ち上げられた方。それぞれ住宅の資産価値を高める事に対して尽力されている方々。

どうしたら住宅の価値という物を分かりやすく表現できるのだろうか?そんなテーマで3年間議論致しました。私は住宅の価値を維持するためには長期的な維持メンテナンスプログラムと定期的な点検、補修、そしてその記録を保持する事というスムストックの発想を提案しました。

そして2018年1月15日。3年間の研究成果をシンポジウム形式で発表することとなり、私も発表の機会を頂きました。

今まで、国土交通省や自民党諮問会議等で話してきた内容を始めて一般の方々にお話する機会を与えられ、30分という短い時間でしたが研究成果を話させて頂きました。その時の講演内容アーカイブがこちらの画像です。

http://www.jusoken.or.jp/movie/127_600.html

個人の講演が終了後に当日の講演者によるパネルディスカッションが行われました。休憩時間に参加者から質問を文書で受け付けそれぞれが回答していく形式でした。その時の画像アーカイブはこちら。全体で1時間以上の画像ですが私が発言しているのは

①29:30~32:40 住宅履歴の必要項目と維持修繕に係る費用

②39:40~41:00 不動産のネットオークションの可能性

③49:40~50:03 住宅の利用価値と使用価値について

④1:15:51~1:17:51 業界の将来 個人が住宅で損をしない為には?それぞれ発言しております。

他の先生達のお話もとても示唆に富んだ良いお話です。お時間ございましたら是非とも一度通しでご覧頂く事をお勧めいたします。

http://www.jusoken.or.jp/movie/129_600.html

パネルディスカッション

そしてそれから1年後、2019年4月にこの時のシンポジウムの内容が書籍となって発売されました。それぞれ講演者が当時の内容を基に文書化しています。ご興味のある方は是非ともご購入頂ければ幸いです。