リフォーム産業新聞コラム掲載
2018年から6年間、地域工務店に対して長期点検の実施と維持管理記録保持の代行業を行ってきた身としてずっとある疑問を持ち続けていました。
一般工務店の経営者は新築受注と引き渡し期日死守で頭が一杯。自分が引き渡した家の20年後の価値など毛頭興味がありません。
でも、建築主様の幸せを本当に願うのなら工務店が主体となって定期点検と住宅履歴保持を進めるべきではないでしょうか?
地元に愛される、孫の代までのお付き合いと謳うのならアフターサポートちゃんとやりましょうとお話させて頂いています。
普通の家はこんな感じで長期修繕計画も無いのが当たり前なのですが、国が認定した長期優良住宅は長期修繕計画の策定と30年間の点検義務が条件となっており最低10年に一回は点検を行う事になっているはず。ここに来て本当に点検しているかどうかのお尋ねが施主宅に届いていると言う事が話題になっています。
実体はどうなのか?ちゃんとやっているのはせいぜい一割位なのは無いだろうか?その疑問を国土交通省にぶつけた顛末がこのコラムです。
記事のコピーは読み辛いと思いますので後半に原稿を記載します。初めからそちらをお読みいただければ幸いです。
以下掲載前の原稿を掲載します。実は第一回掲載からそれなりの反響を頂きました。中には「内容が過激すぎないか?○○省が気分を害するのではないか?」と言ったご心配の声も頂きました。 修正前の原稿も一応記載させていただきます。
これで良いのか長期優良住宅
日本の木造住宅の寿命は30年というデータがある。不動産市場では築20年程度で建物はゼロ評価され、古屋付土地として土地価格マイナス解体費用で取引される事も有る。
そんな悪習慣を打破する為に国土交通省は平成20年に長期優良住宅の普及の促進に関する法律を施行した。耐久性、耐震性等の性能基準設定やバリアフリー化、間取りの可変性対応、居住面積の確保、街並みとの調和、メンテナンスが可能な設計、そして最低30年の維持管理計画書の作成と実施を約束する書類を行政が認定する事とした。そして住宅ローン控除の増額や各種税金の軽減等のメリットが与えられた。当初ハウスメーカーはこの仕様を標準化し普及を進めたが、一般工務店の木造住宅ではあまり普及しなかった。
「住宅生産課は家を作るところまでで後の事はあまり考えていない?」
それから6年後の平成26年、中古住宅市場活性化ラウンドテーブルという国土交通省主催の会議に筆者は優良ストック住宅推進協議会(スムストック)の代表として参加していた。50年以上の修繕計画と実施記録を基に優良な既存住宅市場をつくる活動をしている団体である。その会議上で長期優良住宅が計画通り維持管理を行う事をどう確認するのか?と住宅生産課長に質問した。それはこれから考えるとの返事だった。認定条件では30年間10年に一度程度点検と記録が義務付けられる。制度が始まって12年経過した令和3年度国土交通省はその累積棟数が133万戸に達したと発表した。 「突然届いた国からの恐怖のお尋ね」令和5年住宅業界である噂が広まった。長期優良住宅の建築主に市町村から定期点検の実施状況報告書が届いている。案内文には報告をしないまたは虚偽の報告した場合30万円以下の罰金という一文、さらに計画通り維持管理を行わない場合は認定が取り消され、各種補助金等返還要求も有ると言う注意書きもあった。 突然この文章が届いた建築主は困惑し工務店に問い合わせをした。しかし点検と履歴蓄積義務は建築主にあり工務店ではない。大手ハウスメーカーは長期優良住宅に限らず全ての家に50年以上の定期点検があり、履歴を蓄積している。しかし工務店においては点検代行と履歴蓄積を行う事は少なく、また建築主においても認識はとても低い。文書を受け取った建築主及び問い合わせを受けた工務店ともに混乱した。
「誰も知らない点検実績」
筆者は住宅の点検代行に関する仕事をしており、日頃から建築主や工務店の住宅履歴への関心の低さを感じていた。点検が義務化されている長期優良住宅はどうなのだろうか。この10年間で130万件の点検情報が蓄積されていることになる。ところがどうも肌感覚としてそれほど行われているようには思えない。またホームページに記載されていた、建築主に対する調査は全体の一割程度という事に疑問を感じた。 そこで調査の実体を知るべく、某国会議員の力を借りて国交省に質問状を送付した。その内容は①調査の全体把握②なぜ確認対象が一割程度なのか?③回答率。④点検の実施率と記録保持率⑤実施していない場合の是正指導内容とした。 国会議員のお陰で住宅局の課長補佐クラスの職員が速やかな対応をした。平成22年度に建築された77,000件に対し報告依頼発送件数7421件、報告件数6167件、抽出率9.6%、回収率83.1%。そしてなんと適切点検実施件数が96.3%、記録保存状況が96.8%という調査結果が示された。想像を遥かに超えた数字だった。せいぜい10%位しか出来ていないと想像していた私達はある疑惑と違和感を持った。書類が来た人だけが慌てて点検をしたのであって、それ以外の人は何もしていないのではないか?そもそもなぜ10%程度にしか送らないのか?答えは所管行政庁の負担軽減という返事。そして国土交通省の方々はこのアンケート結果に大いに満足されている様子だった。 回収率を上げる為のご苦労や未点検に対する指導内容に関しては、自分達は各所管行政庁からの数字をまとめているだけなので分からないという回答。そこで所管行政庁の一つである大阪府に面談を申し入れた。ここでも国会議員の影響力は素晴らしく建築環境課長等3人に話が聞けた。
Q 国土交通省の数字と大阪府の数字に差はないか?
A ほぼ同じような数字である。
Q 回収率の高さは素晴らしいがご苦労があったのではないか?
A 電話で督促をした等の相応の苦労はあった。
Q 国は一割程度の抽出としているがもっと多くの人々に発送す るという発想はなかったか?
A 国が一割で良いとしている事を我々が勝手に変えるということはありえない。
Q 我々は数字の高さに疑問を抱いているが、報告書の内容を知りたい
A それは構わない。そして報告書のひな型を入手した我々は唖然とした。
「この聞き方だととこうなるね。」
質問は形式的だった。維持保全計画で定めた時期に点検等を行っているか?と言う問いに対する答えは「はい」か「いいえ」。実際に点検をしていなくても「はい」と答えればそれ以上の書類提出義務は無い。つまり実施していなくてもした事に出来る。高い実施率が報告される理由が分かった。
筆者が考える本来あるべき戸建住宅の維持管理とは
①建築主や工務店ではなく第三者機関による定期点検の実施(車検と同様の信憑性確保)
②記録を改ざん不可能なデジタルデータで保管する事
③②の点検記録を基に適正な価格査定を行い、安心して購入できる既存住宅市場を作り出す事。これは筆者がハウスメーカー勤務時代に取り組んだスムストックで実証している。そして②に関しては現在募集中の「不動産IDを活用した官民データ連携促進モデル事業」に応募する際、デジタル化された点検データに国土交通省がアクセス出来るシステムを提案する事にしている。職員が紙の報告書を作成し封筒に入れて郵送し、電話で催促を行い、返送された封書を開封して集計するといったアナログで無駄な作業。これを続ける事に何の意味があるのだろうか?だから10%しか調査しないという発想になるのだろう。即刻改めるべきではないだろうか。その為に我々は今回国土交通省にある提言をした。それは30年間の点検と記録の為に、システム利用料上限4万円、第3者点検料上限5万円×3回=15万円 計19万円を建築時に補助金支給するというものだ。建築主はこの費用で情報蓄積機関や点検代行業者を選び自動的に定期点検を受けて情報蓄積が出来る。所管行政庁の無駄な労力も全て解消できる。各種税金減額等メリットのどれか一つを置き換えれば予算は確保できる。
長期優良住宅制度は全ての戸建住宅の寿命と価値を長持ちさせるための導入実験である。本来は全ての戸建住宅にこの補助金を出し、住宅履歴が当たり前という世界にするべきだ。そしてこの補助金は10年程の期間限定で良い。なぜなら10年もすれば住宅履歴付の住宅が既存流通市場で適正に評価される状況になる。20万円弱の投資で自宅の評価が100万円単位で変わる事が実感出来れば、建築主はこのシステムに投資をするだろう。現時点でスムストック加盟ハウスメーカーの建築主は当然にこのメリットを受けている。しかし全体のたった15%程度である。戸建て住宅の85%を占める工務店が作る木造住宅をこのレールに乗せる為の政策。国はそろそろ本気で取り組むべきではないだろうか。筆者は節に願っている。この原稿が国土交通省の関係各位の目にとまることを心より願ってやみません。
文中に出てくる質問状(原本)
国土交通省住宅局 住宅生産課御中 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)における 維持保全状況等の実態調査に関する質問 長期優良認定住宅発足から12年経過し令和4年度末における認定実績累積は1,330,333棟に達している。令和3年度の戸建着工棟数における長期優良認定住宅は118,289戸で新築全体に対する割合は27.7%。(国土交通省HP長期優良住宅建築計画の認定実績 資料1) 構造別でみると一般工務店での割合は18.8%。S造(ハウスメーカー)は82.9%(平成29年・国土交通省長期優良住宅制度あり方研究会資料38P 資料2)でまだまだ普及率は低い。 しかしながら同法基準で建てられた家は構造及び設備に関して長期に住み続けられる事を考慮した設計であると同時に長期維持保全計画を作成しその計画通りに維持保全を実施し、その記録を保存する事が条件とされている。ということは既に130万件強の戸建住宅において住宅履歴の蓄積がなされているという事になる。住宅履歴の蓄積は既存住宅流通活性化の観点から国の重要な施策であるとされている。 しかしながら日本の戸建て住宅における長期維持保全計画と点検の実施に関しては一向に進んでいるとは見受けられず公開された実施データも見当たらない。 認定者である所管行政庁は建築計画の認定作業と同等に計画通りの維持保全がなされているか、またその記録が保持されているかの把握に努めるべきであり、仮に住宅履歴の蓄積が当初の予定と異なっている場合、何らかの改善処置を行わなければならないのではないか。 平成26(2016)年度より同法12条に基づく認定長期優良住宅の維持保全状況に関する抽出調査を実施していると聞く。令和2年度では平成21年度着工の56,146件(10年点検)と26年度着工の98,704件(5年点検)に対して、それぞれ約1割程度を目安に調査(大阪府守口市役所都市整備部住宅まちつくり課開発指導HP)とあるがその実態について確認したい。 「国土交通省としての長期優良認定住宅における維持保全状況の実態調査対応状況」 1. 各所管行政庁別の調査実態の把握はなされているか? 2. なぜ全数ではなく1割程度にしか確認を取らないのか? 3. お尋ねに対する回答率はどうか? 4. 定期点検の実施率と記録保持率はどうか? 5. 実施していない場合は所管行政庁から助言や是正指導があるという事だがどのような内容なのか。またその実施件数はどうか? 6. 上記内容を公表する予定はあるか? 7. 上記調査結果からして長期優良認定住宅の普及は順調に進んでいると考えているか? 8. 長期優良住宅普及に伴う住宅維持管理記録の保持の実施率目標は設定しているか? 9. そのための具体策は何? 「一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会について」 当団体は平成22年(2010)年に設立され令和2年(2020)年時点31機関 ID発行数 130,169件と公表されている。また年間3000万円程度の補助金が国土交通省より交付されており、長期優良認定住宅の普及に貢献する団体とされている。 1.長期優良認定住宅の累計が130万件に対して当該団体のID発行数は13万件との事だがこの乖離は何を意味するのか? 2.当協議会においてはID発行に対し手数料を徴収しているようだがID発行にはどのような意義があるのか? 3.13万件のID発行済み住宅では全て長期修繕計画通りの維持管理とその履歴データが蓄積されているのか?されていないとすればその理由は? 4.長期優良認定住宅の普及に当団体が寄与していると10年間判断している根拠は? 5.当該団体への補助金交付が妥当であると判断できる資料は存在するか?
長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)における
維持保全状況等の実態調査に関するヒアリング結果
日時 令和5年3月15日 15:00~17:00
場所 衆議院第一議員会館1016号
参加者 既存住宅流通研究所 中林昌人 他2名
国土交通省住宅局 住宅生産課 4名
「国土交通省としての長期優良認定住宅における維持保全状況の実態調査対応状況」
- 各所管行政庁別の調査実態の把握はなされているか?
- なぜ全数ではなく1割程度にしか確認を取らないのか?
- お尋ねに対する回答率はどうか?
⇒平成27年4月~平成28年3月までに工事完了した住宅
【対象物件数、回収状況】
対象物件数 (a) | 報告依頼 発送件数(b) | 報告受領済 件数(c) | 抽出率 (b/a) | 回収率 (c/b) | |
合計 | 89,010 | 7,751 | 6,808 | 8.7% | 87.8% |
平成22年4月~平成23年3月までに工事完了した住宅
【対象物件数、回収状況】
対象物件数 (a) | 報告依頼 発送件数(b) | 報告受領済 件数(c) | 抽出率 (b/a) | 回収率 (c/b) | |
合計 | 77,076 | 7,421 | 6,167 | 9.6% | 83.1% |
- 定期点検の実施率と記録保持率はどうか?
⇒平成27年4月~平成28年3月までに工事完了した住宅
合計 | 記録等の保存状況 | 維持保全の状況 | ||||
適切 | 不適切 | 適切 | 不適切 | 該当なし | ||
合計 | 6,808件 100% | 6,588件 96.8% | 220件 3.2% | 6,446件 94.7% | 152件 2.2% | 166件 2.4% |
平成22年4月~平成23年3月までに工事完了した住宅
合計 | 記録等の保存状況 | 維持保全の状況 | ||||
適切 | 不適切 | 適切 | 不適切 | 該当なし | ||
合計 | 6,167件 100% | 5,939件 96.3% | 228件 3.7% | 5,970件 96.8% | 183件 3.0% | 14件 0.2% |
- 実施していない場合は所管行政庁から助言や是正指導があるという事だがどのような内容なのか。またその実施件数はどうか?
- 上記内容を公表する予定はあるか?
- 上記調査結果からして長期優良認定住宅の普及は順調に進んでいると考えているか?
Q どうも、我々工務店と直に接触している人間からすると数字が良すぎるような気がする。お尋ねが届いた施主が工務店に相談して慌てて検査をしたという事ではないだろうか。お尋ねが届いた10%の人しか実施していないという可能性も無くは無い。だったら全員にお尋ねを発送すれば全員が点検と記録を行う可能性があると思う。
- 長期優良住宅普及に伴う住宅維持管理記録の保持の実施率目標は設定しているか?
- そのための具体策は何?
追記・要望
・建築主が自分で点検して記録すると言ってもどうやればよい良いのかが分からないと思う。大手ハウスメーカーの様に工務店が代行しようと思っても人手やコストの問題で中々実現しない。その為の我々維持点検代行会社が存在するのでもっと有効活用できるよう国土交通省としてもご検討いただきたい。
・提言書を作ったのでご検討頂ければありがたい。いいかげん建てた家の価値が20年でゼロになるような悪しき慣習を払拭しなければならない。その為に長期修繕計画の立案と維持点検の実行と記録保持が最も必要だ。
・家を建てた国民一人当たり2千万円損をするような社会で良い訳ない。我々民間業者も努力するので国もこの施策に対するご理解を深めて頂けるようお願い致します。
2023年3月16日
文責 中林昌人
国土交通省住宅局への要望書
このやり取りの後、改めて日本の木造住宅の価値と寿命を長くする提案書を提出した。その後、反応は何もない。
定期点検及び長期修繕計画の実行と記録に関する提言
(戸建の定期維持管理はなぜ進まないか)
現状
長期優良住宅の条件である維持保全の実施とその記録は住宅の持ち主の義務とされている。しかしながら優良ストック住宅推進協議会に加入しているような大手ハウスメーカーは全て代行している。その結果ほぼ全数定期点検及びその記録保持が出来ているとされている。半面、中小工務店は上記の実施義務は施主にあるという法律面の建付けから自分たちで実施しようとは考えていない。実施しようと考える工務店もわずかにいるが人手不足やコストがネックで普及しない。そして施主も自分で点検しろと言われてもどうすればよいか分からず維持保全点検件数は停滞している。
その結果、ハウスメーカー施工以外の日本の戸建ての流通価値が20年でゼロになってしまうという悪習慣が続いているのではないだろうか。
対策案
- 施主も行えず、工務店も代行不可な場合、点検代行会社の利用という手段がある。資料①「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル資料・住宅維持管理法」
- 現時点で施主や工務店の代わりに長期点検と記録保持を業務として行う業態の会社が何件か存在するがその普及率は低い。
- 点検の実施と記録の保持に関するコストを誰が負担するかという問題があり施主はお金を払ってまで点検する意義が理解できない。
- 施主もしくは工務店が「点検と記録保持代行会社」をもっと使いやすくすることを国の施策とした場合その実施率は増加すると思われる。。
- 本来であれば長期優良認定住宅だけで無く、全ての住宅に適応するべきだが長期優良認定住宅から始めることも有益な手段と言える。
- そもそも長期優良認定住宅普及の促進に関する法律には車の車検同様に定期点検を義務つけるべきであった。
- 既に建築済みの133万件の長期優良認定住宅及びこれから新築される長期優良認定住宅に対し「点検代行と記録保持」に関する費用を補助金として支給し、点検実施と記録保持を増大させる案を提案する。
点検コストの実態
- 現在 住宅情報蓄積・活用推進協議会「いえかるて」等に参加している団体のシステム利用料金は1件あたり3万~5万円と言われている。一般市民は料金を払ってまでこのシステムに加入するメリットが見いだせず普及していない。
- 定期点検(インスペクション)は既存住宅状況調査技術者等の資格者が行えば1回5万円から8万円の費用が発生する。建築士でない場合は3万円から5万円の場合もある。
- システム利用料と少なくとも30年間で3回の定期点検(国は最低でも10年に一度の点検が推奨されている)の費用は
3万円~5万円(システム利用料)+3万円~8万円(点検料)×3回=12万円~29万円。
(但し、実際に住宅を本当に長持ちさせようと思えば大手ハウスメーカーが実施している5年に一回の点検・補修が望ましい。ハウスメーカーはシステム利用料も点検料金も無料である為、5年目点検から60年点検まで12回の定期点検を受けられる。)
補助金支給案
1・認定条件の30年間の点検及び記録の実施を条件にシステム利用料の上限4万円 点検料の上限5万円×3回=15万円 計19万円を建築時に補助金支給する。(初年度ローン控除上乗せ等財源は様々)
*4万円以下のシステムを利用しても良いし、点検料も3万円の業者にして5回にしても良いことにする。
2.予算規模(年間供給数500戸以上のハウスメーカーは対象外) 資料②
対象1 年間施工戸数が1戸から49戸の零細事業者による施工1.5万戸
*19万円×1.5万戸=22億5千万円
対象2 年間供給戸数が1戸から499戸
*19万円×2.7万戸=51億3千万円
*既存ストックの有効活用と流通市場形成分野に於いて「良質な既存住宅ストック形成」及び「既存住宅流通・リフォーム市場の活性化」に有効な策と思われる
*対象1 22.5億円の場合、令和5年度優良住宅整備促進等事業補助費236億円の9%
- 点検内容を各認定所管行政へ指定する期間毎にデジタルで自動報告できるようにしておけばいちいち郵送でお尋ねを発送する必要もなければ建て主もその都度報告する手間も省ける。さらに返送された文書を集計報告する作業も必要なくなる。当たり前に長期優良認定住宅の維持点検記録実施率が把握できる。そのように利用してこそのデジタルシステムではないだろうか。
補助金支給後展開
- 当補助金は期間限定(5年から10年)で良いと思われる。
- その間、ハウスメーカーが15年前から行っている「住宅履歴を持つ既存住宅の適切な流通評価基準」が展開されれば自分の物件の価値保全の為に20万円程度の負担は合理的であるという判断を消費者は行えるようになる。維持点検、修繕をしなければ20年で流通価値ゼロ。しっかりと維持管理を行いその記録を保存しておけば構造躯体価格は下がらないという市場を作り出していく事が可能となる。
- 勿論、国としての啓蒙や業界としての告知、展開も必要。
懸念点 悪徳点検業者排除の為の施策
参考資料 「住宅維持管理法」にも記載されているが、自宅の点検、維持管理の代行が一般的になると無料点検を餌に悪徳業者が跋扈する可能性が出てくる。一時期問題となった悪質シロアリ業者や飛込リフォーム業者等同様な悪徳商法が予想される。
そうした問題が発生する前に国としては「点検代行会社」を登録制とし、最終的には宅地建物取引業の様な免許制にするべきだと思われる。
なぜなら国民の大切な財産である自宅という不動産の価値を担保する業務を行うからである。
解決策(案)
点検代行会社の業務管理団体設立案(概要)
1.点検内容の統一と第三者化
・長期点検の内容については一次インスペクション基準等の共通フォーマットが存在するが団体設立を機に各業者の点検内容を確認し公的な内容として国の認可事業とする。点検技術に関しても講習等で一定のレベル確保が必要。建築した工務店以外の第3者が点検することによって点検品質が確保されるようにすることが必要。
2. 点検記録の改ざん防止(公的な記録として保存する)
・点検記録は既存住宅流通時(売却)に価格が適正であるかの重要な判断基準となる。(車検証と同等)従って民間車検場が定期的に検査を受けるのと同様点検代行会社に対する研修も定期的に行う必要がある。また保存された点検内容が改ざんされない様ブロックチェーン技術等による保護も必要。
最後に
日本国は過去に住宅の維持管理分野にて特に効果的な対策を施さなかったことにより国民全体で500兆円の資産を失ったとされています。 資料③
国富として住宅の資産価値維持に取り組むにあたり、リフォームやシロアリ業界の様に何か問題が発生してから国が規制に入るのではなく、制度設計の段階で業界の正常な発展を導く仕組みを導入するべきであるのではないでしょうか。
以上